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桃田万里子×福博充:「トンペン×ジャニヲタ 私たちは何を見ているのか?」第3回

日産スタジアム3daysが発表されるなど前人未到の領域を進む東方神起。
King & Princeがデビューするなど大きな変化があったジャニーズ事務所。
それぞれの熱心なファンである両者が、ファンとは何か?を語る、
ちょっとアカデミックな異色対談です。

目次

第1回■両ファンクラブに見る「自主」と「管理」
第2回■KPOPは、どこかで「異文化だからなんでもある」と思っていました。
第3回■究極のジャニヲタは、ジャニーズJr.を愛せる人たち?
第4回■私たちは「置かれた場所で咲きなさい」が好き!
第5回■アイドルと事務所は、花魁と置屋の関係に似ている
第6回■「メッチャ近いのにまだ双眼鏡で覗く人がいて、欲が深いと――」(桃田)
         「この間、同じこと言われました(笑)」(福)
第7回■「特等席で見られる、これが幸せな瞬間なんだと気づいたんです」
第8回■見られることに慣れていない私たち
第9回■ジャニーズの虚構とSMの虚構

【福博充(ふくひろみつ)】
東京大学大学院総合文化研究科「多文化共生・総合人間学プログラム」勤務。嵐の櫻井翔を見てジャニヲタの道へ。現在はJr.坦。男でありながらジャニーズにハマってゆく気持ちを『東大院生、僕、ジャニ男タです!』(2014年/小社刊)に記した。

 【桃田万里子(とうだまりこ)】
近代日本文学専攻。大学の非常勤講師をつとめた後、現在は別の仕事に従事。『東方神起 ユニゾンの瞬間』(2017年/小社刊)がある。

 


  

3回■究極のジャニヲタは、ジャニーズJr.を愛せる人たち?

 

福博充(以下・福):東方神起のPVを見ました。聞いたことのある曲だと、けっこう懐かしいところもあって……。私はどうしても〝後ろ〟を見てしまうのですが、Jr.みたいのが出てくる時があって、あれは誰ですか? 本書にはバックダンサーって書いてあったんですけど、あれもSMの次世代のアイドルですか?

桃田万里子(以下・桃):違います。

:SM所属のバックダンサーなんですか? グループ名はないのですか?

:ないです。

:私はどうしても気になってしまいます。この中でいい子は?というふうに……。

:バックダンサーさんでも有名な人がいますが。私たちが勝手に〝アマノ君〟と呼んでいる、韓国人のダンサーさんなんか、みんなすごい知っている。アマノはユノに近づきすぎだよね。とか、本当はこの時チャンミンの方を見なきゃいけないのに、ユノのことばかり見ていたとか。

:そこからダンサーのファンになるとかは?

:ないです。韓国のダンサーさんはそういうヴィジュアルでもないので……。

:踊っているところが好き、みたいな感情は?

:ないと思いますねぇ……。強いて言うなら、日本の東方ダンサーズの皆さんは応援しているし、愛していると思いますけど。うーん、でもどうだろう……?

ジャニーズってジャニヲタがいるじゃないですか。この本を読んでいて、ジャニヲタって、「究極的には、ジャニーズJr.を愛せる人たちなんだ」と思ったんですよ。〝ジャニーズの文法〟の中で、アイドルとなってゆくべき人たちがいて、それを応援していく。本書の中に登場する皆さんもそうですよね。まだアイドルとして認められていないところから育てていく。成長ストーリーを追いかけてゆくわけですよね。

:追いかけながら、また新しいJr.が出てくるので、気になるとまた堕ちて行くんです。永遠のループです。

:福さんが、その〝映り込みの快楽〟(注)に目覚めた、というところを読んだ時、アイドルって〝眼差される人たち〟なんだと思ったんです。眼差しを受ける、〝眼差される〟ことを目的としている。でも、見ている自分を相手から見られると恥ずかしい、みっともないからイヤという部分があるじゃないですか。

:はい。

:それはすごいよくわかるんですよ。私もユノやチャンミンを見るんですけど、見られたら、タオルで自分を隠す、みたいな。自分は見たいけど、見られたくない、みたいな。「見る」って何かというと、自分は世界の外側にいて、解釈する側でいたいという欲望だと思うんです。〝眼差し〟ていたくて、それを究極に追い詰めていくと、舞台にせよ、テレビにせよ、誰かが既に「こう〝眼差し〟てほしい」と思っている世界じゃなくて「自分が見つけたい」と思うわけですよね。そうすると〝映り込み〟に目覚めてゆく。本来、誰かが意図して企画した〝眼差される〟世界ではなく、自分が〝眼差し〟ている子を見ているわけですよね。

:そうです。そしてそれが今だと同じところを見ている人がいる。それがすぐツイッターでわかるのが嬉しいです。同じところ見ていた!って。そこでまた仲間になる。

:一緒に、見て、育てていく。私は、これがジャニヲタなんだろうなって思いました。

:コアな層ですけど……。

:でも、究極の理想は、発見し、育てるということですよね。これは少なくともKPOPの世界にはないと思うんですよ。ここ数年の『SMTOWN』を見ていると、東方神起の出番が減っていてやっぱり新陳代謝を起こしたいんですね。でも、上手くはいっていない。SMのファンはジャニーズのようにジャニーズJr.を愛でて、成長して、育てて、ということが文化としては根付いていない。KPOPの世界は最初から完成したものをみせるのであってね。

今、SMで、NCT(注)という一番若い男の子のグループがいるんですね。デビュー前から『SMTOWN』に前座的に出る感じで露出が始まって。ああ、SMがついにジャニーズJr.のようなことをやりだしたんだな、と思って見ていたんです。それはある程度成功しているけど、SM ROOKIESみたいブランドというか、そういう文化が育っているかというと、そうでもない。

:ジャニーズJr.は小さなグループがたくさんあるというのが、ひとつ特徴です。NCTの下にNCT〝A〟、NCT〝B〟みたいのがいるんですか?

:下ではないです。NCT内にNCTDreamとか、アジアで活動するのはNCT127がいる、みたいな感じです。韓国の場合、そういうのがけっこうあって、SUPERAJUNIORだったら、韓国で活動するのはこのメンバーだけど、中国にはSUPERAJUNIOR -M になる、そういう感じです。でも、メンバーは流動的ではない。

 

【註】

映り込みの快楽:歌番組などでメインで歌っている歌手のカット割に周りで踊る人などが入り込んでくることを映り込みと言う。それらを見つけ、観察することが快楽になる。

NCT:2016年にデビューした新人ボーイズグループ。 これまでのグループとは違って、メンバーが固定されないシステムを取り入れている。




次回続く

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