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桃田万里子×福博充:「トンペン×ジャニヲタ 私たちは何を見ているのか?」第9回

日産スタジアム3daysが発表されるなど前人未到の領域を進む東方神起。
King & Princeがデビューするなど大きな変化があったジャニーズ事務所。
それぞれの熱心なファンである両者が、ファンとは何か?を語る、
ちょっとアカデミックな異色対談です。

目次

第1回■両ファンクラブに見る「自主」と「管理」
第2回■KPOPは、どこかで「異文化だからなんでもある」と思っていました。
第3回■究極のジャニヲタは、ジャニーズJr.を愛せる人たち?
第4回■私たちは「置かれた場所で咲きなさい」が好き!
第5回■アイドルと事務所は、花魁と置屋の関係に似ている
第6回■「メッチャ近いのにまだ双眼鏡で覗く人がいて、欲が深いと――」(桃田)
         「この間、同じこと言われました(笑)」(福)
第7回■「特等席で見られる、これが幸せな瞬間なんだと気づいたんです」
第8回■見られることに慣れていない私たち
第9回■ジャニーズの虚構とSMの虚構

【福博充(ふくひろみつ)】
東京大学大学院総合文化研究科「多文化共生・総合人間学プログラム」勤務。嵐の櫻井翔を見てジャニヲタの道へ。現在はJr.坦。男でありながらジャニーズにハマってゆく気持ちを『東大院生、僕、ジャニ男タです!』(2014年/小社刊)に記した。

 【桃田万里子(とうだまりこ)】
近代日本文学専攻。大学の非常勤講師をつとめた後、現在は別の仕事に従事。『東方神起 ユニゾンの瞬間』(2017年/小社刊)がある。


  

9回■ジャニーズの虚構とSMの虚構

 

編集部・石井(以下・石):福さんはライブから入っていますからね。本書でも、Jに堕ちたのは嵐のライブでキラキラを感じたときからですよね。

福博充(以下・福):翔くんです。

桃田万里子(以下・桃):このキラキラってなんですか?

:曖昧です。たぶんそれは永遠のテーマになると思う。事務所担当みたいになってしまっているので、みんなに感じるんですけど。

:ジャニーズにしかないキラキラというのは何ですか?

:ひとつです。ジャニーズという体制の中にいるか、いないか。

:その体制とはなんですか?

:ジャニーさんがいるこの世界です。

:やっぱりジャニーさんが何か、ということを読まないとダメですね。

:そうです。断片的なインタビューや履歴を書いた記事はたくさんあるんですが、もう少し違う視点から統合していかないと。J自体も、秘すれば花じゃないですけど、まず、始まりが密室の中になっているし。(メディアへの)情報コントロールなども含めて、そこが魅力です。

:社会学的なアプローチが出来そうですね。私、花街の歴史が好きですけど、吉原も、虚構の世界ですよね。そこにものすごいお金をかけて壮大な虚構を創り上げていく。例えば置屋が、歌や所作の教養を花魁に教え込んでいくことで、客よりも遊女の方が位が上になるという、壮大な虚構をみんなで遊びながらするわけですよね。いろいろなことがお金に化けてゆく。座っても何両かかるとか。決まりがあっていきなりは会えないんだとか、システム化されているじゃないですか。ジャニーズもそうしたものの延長線上にあるのかなぁと。

:あとはディズニーランドですね。ファンが重なるんです。歌舞伎ファンも多いですね。共通するのは型があること、あと〝騙され〟に行くこと。

:舞台裏を見てはダメなんですね。そこが語ってはいけないという話につながってくるわけですね。

:スキャンダルも、いくら真実を追おうとも、それは別に週刊誌がジャーナリズムとして追ってもいいのですが、ただ私、それが合わなくなってきたのが、真実を暴いたところで、一体何が出てくるのか、ということを私は思うのです。虚構を暴いても、虚構は虚構のままあり続ける時もある。じゃあ、何が真実かと言うと、私が見ているものなので。もしスキャンダル通りだったとしても……。

:分かります。もし、ミッキーマウスの被り物をとって、この人がミッキーでした、と言ったところで、ミッキーは存在しますからね。だから?っていう話ですよね。

:頑張ってらっしゃったのね、という話にしかならない。お疲れ様です!と(笑)。

:そう考えると、SMが作っているものは虚構ではないのかもしれないです。『I AM.』という映画があります。

:本書にも、最後あたりに出てきましたね。

:はい。SMのドキュメンタリー映画です。その中ではいつも『I AM.』というタイトルが出てくる。例えば「I.AM ユノ」。僕は歌手でダンスをやっていて、こういう夢を見て、とユノが紹介される。他のアーティストも出てくる。私は少女時代のテヒョンです、私はこの名前をみんなに知ってほしかった、今、夢がかなってすごい幸せ、とか。I.AM、I.AM、私は何何です~、と言ってゆくというドキュメンタリー映画です。夢を叶える若者たちみたいな感じで、そのIは、少なくとも虚構のコーティングはされていない。虚構なのかもしれないですけど、私たちは本物として受け止めなければいけないというか。だから、もしディズニーランドで中に入っている人がおじさんだったと暴いてしまったら、ん?となると思う。

:騙していたと(笑)。こんな話があります。某学者の方がいます。私の友人は東方神起と言えば、その方のエピソードを思い出すというんです。その方が某学者の先生へ東方神起のことを言ったら、え?なんで彼らのことを知っているの?もしかしてお好きなんですか?ファンなの?と聞かれて、いや、たまたま耳にしただけです、と返したら、メール一本送るから。読んでね、と。それから来たのが東方神起に関する長文のメールだったという。今まで一通もメールをもらったことがなかったのに(笑)。そのメールを読めと。あまりにも熱がこもっていたので返信できなかった、という(笑)。

:私は、もう少し、他の人と距離感とりますよ(笑)。 私は、こう思いますけど、あなたがそう思わなくても大丈夫というのは、あります。

:それは、楽しみ方は百人百様なので。

:それでは夜もそろそろ更けてきたので、お二人がファンとしてどうして行きたいのかを――。

2人:特等席で見たい!

:即答ですね。

:そこですよ。

:それで充分です。あとは終わりが見たい。私はあるグループやアイドルではなくジャニーズ事務所の終わりかもしれないですけど、事務所が終わらなくてもジャニーさんがいなくなったときは、何かしらひとつ大きなものがあるかなというのは感じています。

:それならぜひ、今度一緒にSMの方へ行きましょう!私もジャニーズ行きたいです!

 

2018年1月某日(都内某所で)


終り

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